ざぁぁ、ざぁぁ―――と。
肌を打つのは熱すぎるお湯。火傷さえしちゃいそうなくらいの。
それを今度は冷水に切り替えて、全身に浴びる。
「うぅ……っあ。あ、く……くふ……っ」
でも、唇を食いしばったのは、熱さ冷たさのせいだけじゃない。
むしろ今のあたしは、この肌を削るくらいのシャワーが欲しかった。
「く……ぅ、ちくしょう、ちくしょぉぉ……っ」
自分でもぞっとするくらいの呻き声が、こらえきれずにとうとう漏れる。
抑えきれない涙は、湧いていくはしから水流に流されていく。
シャワーの水をすくって口に運び、何度も何度もうがいする。
けれども、どれだけそうしたって口の中にこびりつく悪臭は消えず、しまいにあたしは―――
「う、ぅぶぇ……っ、え、え、う゛ぅぅぅ〜〜〜〜っっ」
えづいた。えづいて、吐いた。
体を二つ折りにして、タイル張りの床にぶちまける。苦しい、胃の中がひっくり返る、鼻にまで逆流しそう。
びしゃ、びしゃとバスルームの床を叩いたのは、もうほとんど胃液だけだった。
そりゃそうよね……うちに辿り着くまで、途中で何度も吐いたんだし。
それでも、口の中の不快感は消えなかった。
きっとアレは、どんなにうがいしたって吐いたって、もうあたしの細胞にしみこんじゃって、消えやしないだろう。
アレ―――男の、ザーメンだ。
そりゃあたしだって、そういうことをする女がいるってコトくらいは知ってる。
男のアレを口でシて、そのまま呑んじゃうような女だっているだろう。
知ってる同人女になんか、ファンの男をそうやってしゃぶってやって貢がせた、とか得意そうに吹くヤツもいた。
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